もしあなたが『ペアーズ』『Tinder』『Dine』のいずれかを使わなければならないとして、どれを選びますか?
上記はいずれもマッチングアプリとして知られるアプリであることに違いはありませんが、その使用感は少々どころか大きく異なります。
これは、世代が進むに連れてユーザーの新たなニーズに対応していた結果、引き起こされた現象です。
第1世代型マッチングアプリ
日本におけるマッチングアプリの先駆けであるOmiaiやペアーズに代表される、『登録している異性のユーザーを条件検索で絞り込み、気に入った異性にコンタクトを取る』という所謂検索型のマッチングアプリは第1世代に該当します。世界的に見ても古参に入り、また世界最大級でもあるマッチドットコムも勿論この第1世代型マッチングアプリに含まれます。
2018年7月現在においても日本では第1世代型が人気の多数を占め、先述のペアーズは勿論のこと、『with』『ゼクシィ恋結び』といった今日中堅マッチングアプリとされているものも、独自機能こそ搭載してはいるもののその根幹にある『検索』というシステムは脈々と受け継がれています。

第2世代型マッチングアプリ
スマホ全盛の時代に突入し、人々はより手軽さを求めました。それはマッチングアプリ業界においても例外ではありません。
Tinderに代表される第2世代型においては、第1世代型の根幹であった検索機能をあえて撤廃し、そのかわりスマホの基本操作であるスワイプに着目。登録したユーザーをカードという形で表示させ、スワイプ操作によって希望にマッチしているか否かを手早く手軽に振り分ける方式を採用しました。これにより、マッチングアプリを使用することによる出会いがより身近なものになる……かと思われましたが、ここでその手軽さが、思わぬ弊害を呼ぶこととなります。
多くのユーザーが、カードを振り分ける行為をゲーム、あるいはエンターテインメントとして楽しみ始めたのです。これはマッチングアプリの基本理念であるところの『ネットを通じてパートナーと知り合う』というものから逸脱し、結果純粋な第2世代型マッチングアプリは、少なくとも日本国内においてはTinder以外日の目を見ることはありませんでした。
第2.5世代型マッチングアプリ
ところで、よく日本では、輸入した技術を魔改造してしまう癖があります。マッチングアプリの場合その結果誕生したのは、タップル誕生やPoiboy、Pancyなどの第2.5世代型です。
第2世代型マッチングアプリのカード振り分け機能はそのままに、第1世代型の検索機能も追加。まず検索ありきでそこから振り分けを始めるこの複合型は、『程よく手軽で程よく便利』という、前世代2種のいいとこ取り構成で人気を爆発させました。
特にタップル誕生(tapple)の急成長は目を見張るものがあり、若年層から圧倒的な支持を集めています。趣味で相手を絞り込み、表示されたカードをスワイプすることでいいかイマイチか振り分けるシステムは、まさしく第2.5世代型が目指した『ゲーム感覚に陥らない程度の手間を残す手軽なマッチングツール』そのものといっても過言ではありません。

第3世代型マッチングアプリ
そして2017年末にマッチングアプリの世代は更に進みます。これまでリリースされてきたマッチングアプリは、ユーザーに求める真剣度や手軽さに多少の差異はあれど、『マッチング後メッセージをやり取りしてから実際に会う』という手順に変わりはありませんでした。
そこに一石を投じたのが、Dineでした。Dineは、第2.5世代型の特徴を残しつつ、ときに最も面倒とされるメッセージのやり取りを大胆にもスキップし、デートすることに特化する方向に打って出たのです。
マッチングした時点でデートのセッティングを行い、それが完了して初めてメッセージのやり取りに進むという手法は、デートに重きをおいたということから『デーティングアプリ』という新たな呼称を生み出すまでに至ります。
このデーティングアプリには各企業も注目しており、4月には株式会社エキサイトからflagmeが、そして6月にはOmiaiを生み出した株式会社ネットマーケティングからQooNが、新たなデーティングアプリとして登場しました。

マッチングアプリ業界の今後について
欧米におけるマッチングアプリの市場規模は2000億円とも3000億円ともいわれており、人口比で考えると日本市場のポテンシャルは800億円にも迫るとされています。更に日本は、欧米が10数年かけて成長させてきた市場をわずか5年ほどでなぞりあげたという実績もあり、最終的には1000億円の市場規模も夢ではないともいわれています。
しかし現状、日本では『ネットで知り合った相手と会う』という行為に抵抗感を持っている方も少なくはありません。デーティングアプリが、ひいてはマッチングアプリ全体が欧米に追いつき、世界からも注目されるマッチングアプリ市場にまで到達するには、もう少しだけ時間がかかりそうです。
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